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断熱義務化の時代に、これから表面化する“カビ問題”

執筆者の写真: takashi miki
takashi miki
8月5日
読了時間: 5分

更新日:8月14日

住宅の断熱が重要なのは、もはや誰もが知っていることです。しかし本当に大切なのは、断熱と気密はセットでなければ意味がないという点です。

北海道では、冬の厳しい寒さと長い暖房期間に対応するため、 「断熱+気密」をセットで高める住宅づくりが何十年も前から当たり前になっています。 その結果、内部結露やカビのリスクを最小限に抑える文化がすでに確立しています。

一方、本州は気候がまったく異なります。 冬の寒さは北海道ほど厳しくなく、夏は高温多湿。 そのため、これまで住宅の性能は「断熱より通風」「気密より換気」といった考え方が主流でした。

しかし、断熱義務化によって本州の住宅も急速に高断熱化します。 ここで問題になるのが、 “断熱だけが上がり、気密が追いつかない” という状況です。

このズレが、これから本州で確実に表面化する カビ・湿気・夏型内部結露の問題 を引き起こします。



■ 断熱性能だけが上がると何が起こるのか

断熱性能が上がると、家の中の熱が逃げにくくなり、

  • 冷暖房の効率が上がる

  • 24時間冷暖房が当たり前になる

  • 室内外の温度差が常時発生する

という流れが生まれます。

この「温度差が常時ある状態」が、実はカビ発生の大きな引き金になります。

気密が不足している家では、 温度差が大きいほど外の湿った空気が隙間から室内へ強く流入するためです。



夏の湿気が隙間から入り、冷房で一気にカビの条件が整う

夏の外気は絶対湿度20g以上という非常に湿った状態です。 この空気が住宅の隙間から室内へ入り込み、24時間エアコン稼働の室内で10℃以上冷やされ続けると、局所的に相対湿度は80%を超えます

ここで重要なのは、 部屋全体が80%になるわけではないということです。

危険なのは、 クローゼット・押入れ・家具裏など“空気が動かない場所”で局所的に湿度が80%を超える   という現象です。

加えて最近は室内干しが増え、 ランドリールームとファミリークローゼット(ファミクロ)を隣り合わせに計画する住宅が多くなっています。 動線としては非常に便利ですが、ランドリールームは洗濯物から大量の水蒸気が発生し、湿度が70〜90%に達することもあります。 漏気に加え、その湿気が隣のファミクロへ流れ込むと、収納内部は空気が動かず冷えやすいため、局所的に湿度が80%を超えやすいのです。

つまり、 部屋は快適でも、収納内部はカビの温床になり得る。

これが、断熱性能だけが上がった最近の住宅で起こる最大の問題です。ランドリールーム+ファミクロはその一例ですが、間取りに関係なく湿気リスクはどの家にも存在します。



■ カビは低温でも死滅しない

ここで覚えておきたいことがあります。

自然環境においてカビは死滅することは絶対にありません。   低温になれば活動を休むだけで、生き続けます

つまり、冷房で室温を下げてもカビは“眠るだけ”で、条件が整えば再び増殖を始めます。

だからこそ、

  • 湿気を入れない(気密)

  • 湿気をためない(断熱・換気)

この両方が揃って初めて、カビを根本から防ぐ家になります。



■ 戸建てとマンションの違い

「戸建てはマンションより危険」という単純な話ではありません。 正しくは、構造が違うため湿気の入り方・溜まり方のメカニズムが異なるということです。


● マンション(RC造)の特徴

  • コンクリートそのものが高気密

  • 外気が入りにくい

  • しかし内部の湿気が逃げにくい

  • 北側収納は冬に冷えやすく、結露しやすい

  • 収納内部は空気が動かず湿気がこもりやすい

だから大手デベロッパーは昔から、

  • 北側収納の断熱強化

  • 押入れ背面の通気

  • 収納の換気経路確保

などの湿気対策を行ってきました。


● 戸建て(木造)の特徴

  • 壁体内に空気が通りやすい

  • 気密施工の精度で性能が大きく変わる

  • 外気の湿気が入りやすい

  • 冷房で冷えた収納内部に湿気が流入すると“局所的に高湿度”になりやすい

  • 夏の湿気流入が最大のリスク



■ すでに戸建てに住んでいる人ができる対策

● ① 収納内部の“通気”を確保する

  • 押入れ・クローゼットの扉を少し開ける

  • 収納内の荷物を詰め込みすぎない

  • 収納は特に空気を動かす意識を持つ

  → 空気が動けば湿度は下がる。

● ② 24時間換気を必ず「運転し続ける」

  • 停止すると湿気が家の中に滞留する

  • フィルター清掃で風量を維持する

  → 24時間換気の停止は別の問題が発生する。

● ③冬に湿度60%を目指さない

ここも重要ポイントです。

冬に加湿器をガンガン焚いて湿度60%をキープしようとする人がいますが、 これは家の構造にとって非常に危険です。

  • 24時間暖房しながら湿度60%はほぼ不可能

  • 仮にできても収納や壁体内で結露が発生

  • 結露した場所はカビが繁殖する

  • インフル対策としては有効だが、家には悪い湿度

  → 冬は湿度40〜50%が現実的で安全です。

   

※③については今後、さらに詳しく取り上げたいと思います。



■ まとめ:断熱と気密はセットで考える時代

断熱義務化で住宅は高断熱化します。 しかし気密が伴わなければ、

  • 夏は湿気流入 → 冷房で冷やされて局所的に80%超

  • 冬は収納内部が冷えて結露

  • カビが発生しやすい家になる

という問題が必ず表面化します。

マンションも戸建ても、構造は違えど湿気リスクは存在します。 だからこそ、 断熱と気密はセットで考える。   そして、すでに住んでいる家でもできる対策はある。

これが、これからの家づくりと住まい方で最も重要なポイントです。

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