断熱性能義務化の年に考える、日本の住宅の進化とこれから
- takashi miki
- 2025年12月18日
- 読了時間: 4分
更新日:2025年12月22日
■はじめに
2025年、日本の住宅は大きな転換点を迎えました。新築住宅において断熱性能が義務化され、すべての家が一定以上の省エネ性能を備えることが求められるようになったのです。これは単なる制度改正ではなく、私たちの暮らし方や住宅のあり方そのものを変えていく大きな一歩です。
■日本の住宅はどう変わってきた?
約40年前(1980年代頃)
冬はこたつとストーブ、夏は扇風機でしのぐのが当たり前で、住宅の性能についてはほとんど無関心でした。
この時代は「より多くの住宅を供給すること」が最優先で、断熱材や気密施工はほとんど考慮されていませんでした。
約25年前(2000年頃)
「住宅性能表示制度」が始まり、住宅の性能を第三者が評価できる仕組みが整いました。
当時の最高等級は温熱等級5までで、真冬の断熱性能としては“十分に暖かい”とまでは言えず、人によっては体感差があるレベルでした。
このころから「性能を数値で示す」動きが少しずつ広がっていきました。
約10〜15年前(平成後期)
一部のハウスメーカーや工務店は積極的に断熱・気密性能を高めていました。しかし当時の断熱基準(等級4)は義務ではなく“推奨水準”にとどまっていたため、実際には満たしていない住宅も多く、性能には大きなばらつきがありました。
義務化されていなかったため「最低限の基準を満たせばよい」という考え方が主流だったのです。
現在(2025年)
断熱性能義務化により、すべての新築住宅は「断熱等級4以上」が必須となりました。
さらにZEH水準(等級5以上)を満たす住宅が急速に普及し、性能重視型の住宅が“当たり前”になりつつあります。
■昔は“安さ”が売れる条件、今は“性能”が選ばれる条件
10〜15年前、多くの住宅は断熱等性能等級4すら満たしていないのが現実でした。
当時の断熱基準(等級4)は義務ではなく“推奨水準”にとどまっていたため、価格を優先した家づくりが一般的だったのです。
• 価格競争が最優先:安い家の方が売れると考えられていた
• 性能は見えにくい:断熱や気密は完成後に体感しづらく、広告効果も薄かった
• 施主の理解不足:住まい手も間取りやデザインを重視し、性能は二の次になりがち
しかし今は状況が大きく変わっています。
光熱費の高騰や健康への意識の高まり、そして断熱性能義務化によって「性能を数値で示すこと」が当たり前になりつつあります。
つまり、これからの住宅市場では「安さ」ではなく「性能」が選ばれる条件になっていくのです。
■断熱と気密はセットで考えよう
断熱材をしっかり入れても、家にすき間があると効果は半分になってしまいます。
イメージすると…
• 断熱は「セーター」
• 気密は「風を通さないウィンドブレーカー」
この二つが揃ってこそ、冬でも暖かく、夏でも涼しい家になるんです。

■結論 ― これからの家づくりに必要な視点
一戸建て住宅は、人生の後半まで長く住み続ける「終の住処」になる場合が多いものです。マンションのように市場で価値が見えやすいものとは違い、建てた後の住宅はなかなか適正に評価されません。つまり、簡単に買い替えができないからこそ「これから先の住宅がどうなるか」を考えて建てることが大切です。
これまでの日本の住宅は、低価格・大量供給の時代を経てきました。しかし人口減少や省エネ義務化を背景に、これからは「性能重視型」へとシフトしていく可能性が高いでしょう。とはいえ、単純に性能だけを追い求めるのではなく、快適性・ランニングコスト・メンテナンス性・資産価値のバランスを取った住宅が求められる時代になっていくはずです。
断熱や気密といった性能は、単なる快適さだけでなく、住宅の資産価値や長寿命化にも直結します。だからこそ、これからの家づくりは「性能を資産に変える」ことが重要です。
• 断熱・気密性能を数値で示すこと
• 適切な施工と維持管理を行うこと
• 第三者のチェックで透明性を確保すること
これらを積み重ねることで、住宅は「住む場所」から「安心と価値を持続させる資産」へと変わっていきます。断熱性能義務化の年は、その転換点を私たちに示しているのです。
これから家を建てる方も、すでに住んでいる方も、住宅の性能を“資産”として考えてみませんか?
そして何より大切なのは、こうした取り組みがスクラップ&ビルドからの脱却につながることです。性能を数値化し、資産として評価できる住宅が増えれば、壊して建て替える時代から「長く住み続け、価値を維持する時代」へと移行していきます。
スクラップ&ビルドから脱却し、性能を資産に変えること。それが日本の住宅の未来であり、時代の流れなのです。住宅の質を底上げするこの流れは、住まい手にとって安心できる選択肢を広げていくでしょう。
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